ピアノは決められた鍵盤を押さえれば
必ず正しい音が出ます。
音を出すという意味では
楽器のなかで一番簡単でしょう。
トランペットやヴァイオリンは
音が出るようになるまでが
大変な楽器です。
ピアノは誰でも音を出すことができますが、
指先の感覚を使い分けることによって、
音色を変えることができるし、
直接息をいれている訳でもないのに、
気持ちを乗せた音を出すことができます。
だから、同じ楽器で演奏しても
人によってそれぞれ音色が変わるのです。
なんとなく鍵盤を押さえるだけでは
やはり、なんとなくした音しか出ません。
意思を持った音を出すには、
意思を持つことが大事です。
どんな音を出したいのか、
今弾いている曲にはどんな音が合うのか。
手首を柔らかく使うのか、
固くして使うのか、
指先は広い面を鍵盤に当てるのか、
固くして点を狙うように当てるのか、
どのくらいのスピードで鍵盤を押すのか
具体的に使い分けます。
だんだん指先の形に気を配れるようになってくると、
音色を使い分ける練習を始めます。
ハノンを使い始める頃でしょうか。
普段は間違えることには寛容ですが、
このテクニックの練習をするときは
高度に集中力を必要とするので、
一回で良いから、
絶対に音を外さないぞ!っていう
強い気持ちを持って弾いてねと言います。
鷹や鷲が上空から獲物を狙って、
狙った獲物を絶対に逃がさないぐらいの気持ちだよ!
お腹空いてたら絶対に獲物を捕りたいよね、
そういう強い気持ちだよ!
実際に私の指で子どもたちの腕を掴むような感じで、見本を見せて、
弾いて音の違いを聞かせて
気合いを入れて!
すると、最初は集中の仕方が分からず、
一瞬は集中できても、
次の瞬間に途切れてしまうことがほとんどです。
集中しよう!と思うほど、
集中できないのです。
絶対に狙うぞ!と気合いを入れて、
ドレミのことだけを考えさせます。
できるかな~?
音を間違えたらどうしよう~?
なんでこんなことやってるのかな~?
曲を早く弾きたいなぁ~?
なんで外しちゃいけないのかな~?
なんでこんなに緊張させるのかな~?
などと、考えながら弾いているうちは
集中できていません。
音を聞くと、どんなことを考えて弾いているのか分かります。
レッスンでたくさんやることはせず、
レッスンごとにチャンスは一回。
緊張感を持って弾く時間を作ります。
だんだんコツが分かってくると、
一回できれいにきまってくるようになります。
なんとなくの音を出している頃とは違って、
音に意思が芽生えてくるので、
他の曲でも応用できるようになってきます。
自分がほしいものは絶対に掴みたいよね。
音も、自分が出したい音、
外したくない音は掴みにいくんだよ。
気持ちで掴むんだよ。
音を狙うんだよ。
と、何回も話します。
音を掴むって何????
ポカンとしていても、
本当に鍵盤を掴むように演奏することで
ピアノ本来の響きが生まれるので、
自分がこんな音が出せるのか👀と、
驚いたような表情をするときがあります。
どんな瞬間に出会うと
何回も説明したけれど、
諦めずに言って良かったなと
本当に嬉しい気持ちになります。
そこまで引き出すのが大変ですが
とてもやりがいのある瞬間です。
待っているだけでは欲しいものは手に入りませんね。
チャンスも、勝利も、音も、
自分から掴みにいきましょう!
2021年02月10日(水) │ ブログ
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