ストーリーキューブの夏が来た!
連日35度を越える暑い夏休みが始まって1週間。いかがお過ごしでしょうか?
こんなに暑いのに、近くの保育園からは元気に遊ぶ子どもたちの声が聞こえてきて、子どものパワーに驚くばかりです。
さて、夏休みはどんなことをして過ごしていますか?せっかくの長期の休みなので、普段はできないことをして欲しいですね。
早寝早起きをしましょう、なんて言われますが、たまには目覚まし時計をかけずにのんびり寝るなんていうのも、ワクワクしますね。
旅行も楽しいし、おばあちゃんやおじいちゃんに会いに行くのも良いですね。
様々な体験をすることが、表現への糧になりますから、ぜひ本物の体験をして欲しいです。
さて、当教室では、夏休み恒例の特別な宿題があります。
それは
ストーリーキューブ
です。
サイコロにイラストが書いてあって、出た目のイラストをヒントに物語を作ります。
1セットには9個のサイコロがあり、無限の使い方ができます。
そのうちの4つを使って、今年は物語を作ってもらいます。
ピアノ教室なのに、何故、物語を作る宿題を出すのか?不思議に思われるでしょう。
それは、存分に想像力の羽を伸ばしてもらいたい!子どもらしい想像力を発揮して欲しい!という願いからです。
ピアノ・音楽を演奏することは、自分の思いを表現することです。
当たり前に思うかもしれませんね。
しかし、弾くこと、指を動かすことばかり集中してしまって、どう演奏したいのか、どんな思いを伝えたいのか?という肝心な点がおろそかになることが多いのです。
私は子どもの頃、自分がどう演奏したいのか?なんて全く考えたこともありませんでした。
もちろん、かっこいい曲だなとか、良い曲だなと感じることはあっても、とにかく先生の言う通りに強弱をつけて、指を早く動かすことばかりでした。
それが、大学のレッスンでは、
“どう演奏したいのか?”と質問されて、今まで考えたこともなかったのに、いきなり聞かれて、本当に困りました。
同じf(フォルテ)でも、それまではただ強い音を出せば良いという感じだったのが、どんな表情の音なのか、音色の違いをはっきりとイメージをして、それを音に、音楽にしなければなりません。
どんな音を出したいのか、イメージがなければ、出せないのです。
勝手に指が出してくれるわけではありません。
しかし、その音色を探す作業がピアノを弾くことの醍醐味で、練習が楽しくなりました。
楽譜を読むという本当の意味も知ることができたのです。
そんな楽しい練習を早いうちからやりたかった。知りたかった。
それがストーリーキューブの宿題を出す理由です。
先生が、強く!弱く!と言うから、強く、弱く弾くのではなく、
自分で強く弾きたい、弱い音が欲しいと思いながら弾けたらどんなに楽しいでしょう。(強い、弱いという表現もあまり好きではありませんが)
音楽の表現は、学校の算数の問題のように、正解がひとつではありません。
自由に想像することを楽しんでもらいたいです。
ピアノのテキストは、始めのうちは素敵なイラストがたくさんあり、題名から曲のイメージが湧きやすいようなものばかりですが、だんだん進んでいくと、題名はソナタ◯◯番や、作品番号で呼ばれるようになり、音そのものからイメージを膨らませていくようになります。
音楽もストーリー性があるので、その流れをつかみながら演奏すると、内容が充実してきます。
音楽は言葉にならない感情などを表現できますが、ピアニストたちは、驚くほど具体的に、例えば、光を感じる場面では、どんな場所、どの方向から指してくる光なのか、季節はいつか?何時ごろなのか?回りの風景はどんな様子なのか、とイメージをもって演奏をしています。
ぜひ、時間がたっぷりある夏休みに、自由に想像力を働かせて、楽しい物語を作ってもらいたいと思います。
みんながどんな作品を持ってきてくれるのか、とても楽しみです。
2023年07月29日(土) │ ブログ