聞くと聴く
「音をよく聴きなさい」
先生から何回も注意されました。
子どもながらに、
こんなにピアノの音がよく聞こえてるんだから、
聞いていないわけないのに、
なんで先生は聞きなさいって言うのかな?と、
とても不思議に思っていました。
聞いているはずなのに、
なぜもっとよく聞きなさいなのか
分かりませんでした。
漢字にも二種類ありますね。
聞く
と
聴く
違いが分かりますか?
簡単に説明すると
聞くは、聞こえている、
聴くは、意識をもって聴いている
ということになります。
主体性をもっているかどうかですね。
演奏している時には
もちろん今、弾いている音を聞いていないと演奏できません。
しかし、ちょっと先のことも考えていないと、
身体の準備が間に合わずに、
イメージした音を出すのは難しくなります。
すると、フレーズの最後の音などが
雑になってしまうことが多々あります。
先生から
「よく聴いて」と指摘された部分は
こういうフレーズの切り替え場所、
雑になりがちなところも丁寧に、
という意味合いもあったことが
分かるようになりました。
聴いているようで聴いていない状態なのです。
指を動かすことに集中しすぎると
音を聴かないで演奏してしまうこともあります。
でも、本人の感覚としては
音が聞こえているので
聴いていると思い込んでいます。
しかし、自分でどんな演奏をしたのか
あとから思い出すことが出来ずに、
結局よく分からなくて、
どこをどう改善したら良いのか分からないので、
何度も同じようなことを繰り返すだけの練習になってしまいます。
楽譜も見ているようで見てない状態なので、
楽語や記号を見落としていて、
指摘されて初めて目に入るということも
珍しくありません。
先のことも考えつつ、
今弾いている音も丁寧に聴くことが
できるようになってくると、
イメージ通りの音が出せるようになり、
有意義な練習ができるようになってきます。
ただ自分では
やっているつもり・・・という思い込みがあるので、
客観的に自分の演奏をしながら聴くというのは
難しい場合もあります。
そんなときは
録音した演奏を聴くことも
とても勉強になります。
自分ではやっているつもりなのに、
まだまだ足りない、
まさか!!!という発見がたくさんあります。
自分が先生になったつもりで
自分の演奏を聴くこともおすすめします。
客観的に自分の演奏が聴けるようになると、
メキメキと上達しますよ。
2020年12月06日(日) │ おすすめの練習方法
途中からでも弾けますか?
部分的な練習は好きですか?
一日の練習で、
最初から最後まで通して弾くのは
何回ですか?
初歩の段階で、
1曲が4小節、8小節でできている場合は、
部分的な練習だけというのは
現実的ではありませんね。
でも、短い曲でも
弾きやすい部分、
ちょっと間違えやすい部分、
難しい部分など
それぞれ得意・不得意な部分があると思います。
通した練習だけだと、
苦手な部分をできるようにするには
とても時間がかかります。
苦手な所は何度通しても
苦手なままです。
苦手、または弾きにくい部分には
必ず原因があります。
音を正しく読めていない、
指使いに無理がある、
リズムが正しくない、
など、
その原因を考えて、
対処しなければならないので、
そこだけを取り出して練習する必要があります。
時々、苦手な部分だけ弾いてもらおうとすると、
途端に音が分からなくなってしまい、
結局最初から弾かないと弾けない
という事態が起こることがあります。
これは、本当の意味で弾けているとは言えず、
一連のからだの動きだけで、無意識に
弾けているのです。
弾けているようですが、
残念ながら定着はしないでしょう。
この状態で本番を迎えるのは
とても危険です。
緊張すると、身体は思いもしないような
反応をすることがあります。
まず、心臓がドキドキするだけでも
いつもと違う!どうしよう!
となってしまいます。
客席の音や雰囲気が気になったり、
ライトが眩しく感じたり、
着なれないドレスや靴なので
着心地が気になったり、
とにかく普段とは環境が全く違うので
気になるのは当然でしょう。
そのなかで普段通りの演奏をするのは
至難の技です。
無意識に弾けていたことでも、
急に意識に上ってくることがあり、
そうなると、
急に、いつもどうやって弾いていたんだろう?
と自分でも不思議な感覚になることがあります。
出だしの音から分からなくなる場合もあります。
鍵盤の位置も、
あれ????ということもあります。
真ん中のドってどこだっけ?
思い当たることありますか?
ですから、
普段の練習でも
無意識に弾かないように、
苦手な部分こそ入念に練習し、
どこからでも弾けるようにしておくことが
重要です。
途中でも音やリズムがはっきり分かると、
どんなに長い曲でも
安心して本番に望むことができます。
どの部分でもはっきり分かっている状態は、
曲の内容や構成を理解できている状態です。
不思議なことですが、
ただただ通して弾いている時は
曲が長く感じられます。
おそらく聞いていても感じるでしょう。
それが、曲の構成が理解できていると、
飽きずに弾いたり、聞くことができます。
もし、自分で弾いていて、
曲が長く感じるようだと、
内容や構成の理解が不十分な状態だと考えられます。
暗譜の助けにもなるので、
ぜひ、曲のどこからでも弾けるように
練習してみてください。
2020年12月04日(金) │ おすすめの練習方法
楽譜に書いてあることは全て大事です。
楽譜は暗号みたいですね。
5線の上に丸い音符があちこち
散らばっているように見えて、
小さな粒々のような点や線、
外国語が書かれてあり、
不思議なマークのような記号もあります。
言葉を文字にするのも
人間の優れた能力ですが、
音を書き記す方法として
楽譜を発明したことも
世紀の大発明だと思います。
音の高さや、長さ、強さ、感情など
全ての情報を一目で分かるように
書かれた楽譜は
読み方さえ分かれば
言語が分からなくても
お互いに理解し合える
最高のコミュニケーションツールでしょう。
しかし、情報量が多いので
見落とすポイントも多いのです。
最初はどうしても音符だけに目がいってしまいます。
次には強弱などでしょう、
しっかり見ているはずなのですが、
細かいスラーやスタッカート、
楽語など指摘されて
初めて目に入ることもあります。
音を先に覚えてしまうと、
家での練習時には
楽譜を見ないで弾けてしまうことがあります。
そうすると、
細かい記号など最初に見落とし、
そのままにしていると、
見落としたまま定着してしまい、
後から意識して気を付けることが難しくなります。
画像のようなスラーの場合、
一見、大したことのない場所に思えるかもしれませんが、
話し言葉で例えると、
文章の切れ目がおかしい感じ、
スタッカートの位置がずれると
イントネーションが違う感じに
聞こえることになります。
スラーは呼吸の切れ目にもなるので、
聞いている人は不自然に聞こえるでしょう。
シンプルな記号ですが、
効果は絶大で、
このスラーをいかに綺麗に弾けるかは、
大事なポイントです。
とても大事なポイントなので、
1・2回の注意で直らなくても、
私も諦めずに注意し続けます。
何回も言われてることを意識できるように
週ごとに色を変えます。
綺麗な虹が出来てしまうのは
残念なことなのですが、
そこを笑いに変えて、
「今日は何色で書こうかな~」と、
注意を促します。
私は綺麗な色のペンを使えるのが
嬉しいよ~と伝えると、
笑いながら
嫌だーーーーーーーーと、
悲鳴をあげています。
そういったやり取りも楽しいものですが、
なんとか楽譜に意識を向けてもらえるように
私も工夫をしています。
どんなに細かい記号でも
必ず意味があります。
楽譜の読み方を最初から一緒に勉強することで、
どうやって表現に活かしていくのか
どんなに短い曲でも
最初からやっていきます。
そうすることで、
表現することの楽しさを知ってもらいたいのです。
楽譜からの情報をどう読み取るか、
これが分かるようになれば
自分で工夫できるようになり、
大人になって
自分の力で表現できるようになります。
ですから、
楽譜を見て練習する習慣をつけてもらうまで、
諦めずに言い続けますよーーーー!
2020年11月30日(月) │ おすすめの練習方法
指使いはどうする?
風もなく気持ちの良い朝だったので
ちょっと遠出して
歩いてきました
広々して気持ちもスッキリ
さて、ピアノの練習をしていて
面倒だなと思うひとつに
指使いをどうするか?
という問題はありませんか?
譜読みの段階では
ただでさえ細かい音符で
たくさんの音を見ているときに、
指の番号まで気が回らないですよねー。
そのうちに音を覚えて弾いてしまって、
楽譜を見ないで練習していませんか?
なんとなく弾きづらいけれど、
どうにかなっているから
そのままにしていませんか?
音は合っていても、
弾きづらそうにしている時に、
指を見てみると、
楽譜とは違う指使いをしていて、
かえって難しい指を使っていることが多いです。
進行上無理な指使いをしています。
ほとんどの教本では
書いてある指使いをした方が、
弾きやすく、
簡単に弾けます。
だんだん曲の難易度が上がってくると、
たまに書いてある指使いよりも
自分で考えた指の方が弾きやすくなることもあります。
習い始めの数年は
楽譜どおりの指使いを守ることをおすすめします。
学生時代に、パイプオルガンを3年間履修していました。
最初に先生に教えてもらったことは
良い音を出すには
良い指を使いなさい
パイプオルガンの場合、
鍵盤上では音の強弱はつけられません。
ギリギリまで音を伸ばしたり、
軽く切ったり、
弾き方の工夫をして
音にメリハリをつけます。
音の種類も楽器ごとに組み合わせて
音を作っていくので、
その音に合う、弾き方を工夫します。
ピアノとは全然表現方法が違います。
そのときに、大切なのが指使いで、
ピアノではやらないような使い方をする場合があります。
例えば、
音階を弾く場合、
ピアノでは1の指をくぐらせて
不自然なアクセントがつかないように弾きますが、
オルガンでは1の指はくぐらせません
2・3を繰り返して使うようなこともあります。
それは音の繋がり方を見て決めます。
というように、
オルガンの場合は、ピアノよりも指使いが厳しく決められています。
良い音を出すための指使いなのです。
もちろん、ピアノの場合も
良い音を出すために
指使いがあるわけで、
大事な音、絶対に外せない音には
力の伝わりやすい指を使うのが良いですよね。
そこに無理な指を使ってしまうと
どうなるか、想像できると思います。
最初は大変かもしれませんが、
そのうちに、
このテクニックの時には
この指使いだ!
と、指使いの傾向が分かってくると思います。
そうなってくると、
いちいち楽譜で確認しなくても
正しい指使いで弾けるようになってきます。
パターンがあるのです。
長年専門家たちが研究を続けてきて
一番弾きやすい指番号が書いてあるので、
それを使わない手はありません。
指番号まで意識するなんて!!!と
尻込みしてしまうかもしれませんが、
急がば回れ。
きれいに弾けるようになるための
一番の近道ですよ。
2020年11月30日(月) │ おすすめの練習方法
左手の音は重要です。
日頃から
歌が大事!
歌うことが大事!
歌いながら弾いて!
歌えれば弾けるから!
しつこいくらいに言っています。
そのとき、歌っているのは
たいていメロディーですよね。
もちろんメロディーは大事なのですが、
ハーモニーも音楽を形作る上では
とても大事な要素です。
ちなみに、クラシック音楽において
音楽の三大要素は
メロディー、ハーモニー、リズム。
リズムも本が何冊も書けるほど
語る内容がたくさんあります・・・
さて、ハーモニーは左手の音、
つまり低音がとても重要なことが多いです。
しかし、音楽として耳に残りやすいのは
メロディーが多いので、
覚えるときもメロディーは簡単です。
そこで問題なのが、左手の音です。
同時に二つの音を歌うことは出来ません。
小学生ぐらいだと、
弾いているうちになんとなく覚えられるのではないでしょうか?
これが危険です。
からだの動きとして
なんとなく覚えている状態だからです。
これは無意識で弾けている状態なので、
一旦、意識してしまうと、
本番などの緊張状態では
分からなくなる可能性が高いです。
そうならないように、
普段から左手の音も意識して弾けるようにする必要があります。
左手だけ暗譜で弾けるかどうか、
ぜひ試してみてください。
かなり難しく感じられるでしょう。
右手はお休みして、
左手だけを弾く場合と、
右手は鍵盤上を動かしているけど
音を出さずに指を動かしながら、
左手を弾いてみてください。
いかに、右手の動きに頼っていたかが
よく分かると思います。
ショパンは、
左手は指揮者の役割である。と
語ったそうです。
テンポを保つ役割や、
響きの土台を作る役割、
右手のメロディーが最高にきれいに聞こえるように、
左手は環境を整えるような役割でしょうか。
ショパンの曲を演奏するとき、
左手の音に自信をもっていると、
とても安心して演奏することが出来ます。
たいてい、暗譜が怪しくなるのは
左手が怪しい時なのです。
もし、メロディー部分に何か突発的に事故が起こっても、
左手が止まらなければ
なんとか繋ぐことが出来ます。
習い始めの時から、
練習するときは
左手を弾きながら、右手を歌うことをやってもらいます。
そうすることで
両手もスムーズに出来るようになりますし、
曲が大きくなってきてからも
応用できる練習です。
これをしっかりやってくる子と
そうでない子では
進み具合にも差が出てきているように思います。
ぜひ、左手の音に意識を集中させて
練習してみてくださいね。
2020年11月28日(土) │ おすすめの練習方法