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> 2021年 > 1月 > 22日

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この時期になると思い出すこと

今年は大学院を卒業して

ちょうど20年になります。

その頃産まれた子が、成人式を迎えました。

 

中学生の頃、一度挫折し、

音楽を辞めてから、

どうして大学で音楽の道に進んだのか

質問されました。

 

大学の入試は2月の始め。

ちょうどこの時期は受験のために

必死に勉強していました。

 

高校では音楽を絶対にやらないぞ!と

心に決めて普通科に進んだのに、

合唱部へ入り、

細々ながら音楽を続けていました。

自分としては不本意だったので、

あまり熱心な部員ではありませんでした。

時々、伴奏などもしていたので、

親のすすめもあり、

学校の近くで通える教室に通っていました。

 

その頃は、

弾きたい曲を弾く程度でした。

 

それで、高校3年の12月、大学へは医療関係にすすむつもりで数学や生物を勉強していました。

 

息抜きのつもりで

NHKのN響アワーという番組があり、

ラフマニノフのピアノコンチェルトが聴きたくて、番組を見ていました。

最後のコーナーで著名人が音楽にまつわるエピソードを語る時間があるのですが、

そこに、今は亡き、日野原先生が出演されました。

 

音楽療法について話しているのを聞き、

医療の分野で、音楽も貢献できることがあるんだと、とても感銘を受けました。

しかし、12月も半ばを過ぎているので、進路を変更するなんて一ミリも思わず、看護の勉強をしながら音楽療法も勉強すれば良いかもしれないと、そのときは思っていました。

 

次の週、ピアノのレッスンにいったときに、ピアノの先生から、

「音楽療法っていうのがあるけど、あなたどう?医療の勉強もいいけど、音楽の勉強が先の方が良いのでは?」

と、言われました。

 

とても魅力的な分野だとは思っているけれど、今から進路変更して間に合うのか?

 

先生は、音楽の勉強を先にした方が良い、ということで、急遽音楽療法を勉強できる大学を受けることにしました。

 

もうお正月、というころに、

大学のピアノの先生を紹介してもらい、

受験の準備を始めました。

 

約1ヶ月。

実技はもちろん、楽典やソルフェージュ、急いで、本当に必死でした。

 

こんなに急いで急転換してしまって

大丈夫なのか・・・・

合格してから不安がよぎり、

いまいち気分が晴れませんでした。

 

あんなに音楽を辞めたいと

挫折して、傷ついていたのに、

4年間大丈夫かな?

 

だんだん学生生活にも慣れてくると、

友人にも恵まれて、

本当に楽しい毎日で、

音楽について、

何も分かっていなかったことがよく分かり、

なぜ挫折したのか、

どうして練習が嫌だったのか、

どうすればよかったのか、

結局、ピアノをもう少し勉強したいと、

大学院にすすむことになりました。

音楽療法を勉強していくうちに、

小手先のテクニックよりも、

音楽をもっと極めないといけないと感じました。

 

あのころ、勇気を出して

進路を変更したこと。

高校の先生には笑われましたが、

思いきってすすんでよかった。

大学で学んだことが

今も私の基礎になっていると感じます。

 

一月は必死で受験勉強していた頃を毎年思い出します。

 

 

勢いで弾けるか?

音楽には流れがあります。

川の流れにもにたような感じです。

不思議なもので

テンポは同じでも

その流れがあるかどうかで

印象が全然変わってきます。

どんなにゆっくりな曲でも

流れがあれば、長く感じずに

あっという間に終わる感じ。

逆に、ゆっくりな曲で流れが止まってしまうと

まだ終わらないのかなー?と、

とても長く感じます。

 

人間の感覚は不思議ですよね。

 

音楽毎にちょうど良いテンポがあって、

それがぴったり合ったときは

大変気持ちよく演奏できます。

 

そして似たような言葉に

“勢い”があります。

もちろん音楽にも勢いが必要なときがあります。

音楽を進ませる力とでも言えますね。

曲の持っている勢いを表現するのは

素晴らしい事です。

しかし、あやふやな部分を勢いで弾いてしまうことは

なんだかとても不安です。

 

曲のある部分でとても細かい音符でテンポも早く、一瞬で終わるような部分です。

主に半音階が主となり、

両手で半音階を響かせつつ、

中の細かい音も半音階で下りてきます。

 

とても細かい音符だし、

テンポも早くなるし、

おそらく自分で弾いていても

正しい流れで弾けているかどうか

分かりかねます。

 

そもそも音も合っているのか。。

 

ひとつひとつの音を確認するのは

意外と面倒に感じるものです。

ましてや何となく最後まで弾けている場合、細かい指示をどれだけみているか、

とても気になるところですね。

 

細かい音符で早く弾くときには

勢いが必要ですが、

音やリズムがあやふやな時は

勢いで弾くととても危険です。

 

どう危険かというと、

ハッと何か気になったとき、

今自分はどこの場所を弾いていたんだろう?と

分からなくなることがあります。

頭の中が真っ白になって、

どこからやり直していいものか、

何の音だったか、

自分でもびっくりするほど抜けてしまうのです。

 

普段から勢いに任せて

多少音がグチャッとなっても気にせず

練習して気分になっていると

本番では冷や汗ものです。

 

ここは面倒くさがらずに

ひとつひとつの音を確認し、

暗記で言えるようにする必要があります。

 

なんとなく弾いているように見える

ピアニストも

驚くほど詳細に音を覚えて

歌えるようにしていると思います。

 

歌えないと弾けないし、

歌えるようにしか弾けないのです。

 

だから、日頃からしっかり歌って弾くようにしている人にとっては

本番はそんなに緊張もしないでしょう。

 

全ての音をクリアに覚えることは

最初は面倒に感じるでしょう。

しかしよく楽譜を見てみましょう。

同じようなパターンでできているところはありませんか?

このパターンをいかに見つけられるかが

暗譜を楽にしてくれますし、

弾きやすくしてくれます。

 

指だけで覚えないようにしましょう。

 

勢いだけでは絶対に安心して弾けません。

本番では何が起こるか分かりません。

客席から急にくしゃみの声などが聞こえてくるかもしれないし、

ライトが眩しく感じながら弾かないといけないかもしれないし、

いつもの部屋で弾いているようには

いかないのが本番です。

 

そこで集中するには

歌うことなのです。

勢いに任せず、確実に弾けるようにして

本番に望めば、

いつものような演奏ができるでしょう。