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勢いで弾けるか?

音楽には流れがあります。

川の流れにもにたような感じです。

不思議なもので

テンポは同じでも

その流れがあるかどうかで

印象が全然変わってきます。

どんなにゆっくりな曲でも

流れがあれば、長く感じずに

あっという間に終わる感じ。

逆に、ゆっくりな曲で流れが止まってしまうと

まだ終わらないのかなー?と、

とても長く感じます。

 

人間の感覚は不思議ですよね。

 

音楽毎にちょうど良いテンポがあって、

それがぴったり合ったときは

大変気持ちよく演奏できます。

 

そして似たような言葉に

“勢い”があります。

もちろん音楽にも勢いが必要なときがあります。

音楽を進ませる力とでも言えますね。

曲の持っている勢いを表現するのは

素晴らしい事です。

しかし、あやふやな部分を勢いで弾いてしまうことは

なんだかとても不安です。

 

曲のある部分でとても細かい音符でテンポも早く、一瞬で終わるような部分です。

主に半音階が主となり、

両手で半音階を響かせつつ、

中の細かい音も半音階で下りてきます。

 

とても細かい音符だし、

テンポも早くなるし、

おそらく自分で弾いていても

正しい流れで弾けているかどうか

分かりかねます。

 

そもそも音も合っているのか。。

 

ひとつひとつの音を確認するのは

意外と面倒に感じるものです。

ましてや何となく最後まで弾けている場合、細かい指示をどれだけみているか、

とても気になるところですね。

 

細かい音符で早く弾くときには

勢いが必要ですが、

音やリズムがあやふやな時は

勢いで弾くととても危険です。

 

どう危険かというと、

ハッと何か気になったとき、

今自分はどこの場所を弾いていたんだろう?と

分からなくなることがあります。

頭の中が真っ白になって、

どこからやり直していいものか、

何の音だったか、

自分でもびっくりするほど抜けてしまうのです。

 

普段から勢いに任せて

多少音がグチャッとなっても気にせず

練習して気分になっていると

本番では冷や汗ものです。

 

ここは面倒くさがらずに

ひとつひとつの音を確認し、

暗記で言えるようにする必要があります。

 

なんとなく弾いているように見える

ピアニストも

驚くほど詳細に音を覚えて

歌えるようにしていると思います。

 

歌えないと弾けないし、

歌えるようにしか弾けないのです。

 

だから、日頃からしっかり歌って弾くようにしている人にとっては

本番はそんなに緊張もしないでしょう。

 

全ての音をクリアに覚えることは

最初は面倒に感じるでしょう。

しかしよく楽譜を見てみましょう。

同じようなパターンでできているところはありませんか?

このパターンをいかに見つけられるかが

暗譜を楽にしてくれますし、

弾きやすくしてくれます。

 

指だけで覚えないようにしましょう。

 

勢いだけでは絶対に安心して弾けません。

本番では何が起こるか分かりません。

客席から急にくしゃみの声などが聞こえてくるかもしれないし、

ライトが眩しく感じながら弾かないといけないかもしれないし、

いつもの部屋で弾いているようには

いかないのが本番です。

 

そこで集中するには

歌うことなのです。

勢いに任せず、確実に弾けるようにして

本番に望めば、

いつものような演奏ができるでしょう。

 

 

ハノンで計算が早くなる?

100日チャレンジ87日目。

いよいよゴールが見えてきました。

我ながらよく続いています。

ここまでくると、

続けるのは大変だ、とか、

続けられなかったらどうしよう、など

ネガティブな気持ちよりも、

ゴールしたときの気持ちを考えると

ワクワクしてきます。

 

振り返ってみても

あまり大変という印象はなく

書くことにも困らずに

自分でも思ってた以上に

できるんだなぁと驚きました。

 

ブログやSNSを毎日続けるのは大変です。

と、よく聞くけれど

とにかくやってみないと

大変かどうかも分からないのでは?

と、今なら思います。

 

さて、先週ぐらいから

100日チャレンジやってみたい!と

手を挙げてくれた子がいます。

私が始める頃に一度誘ってみたものの、

んーーーー渋ってそのままでした。

毎月書いている教室のお手紙に

他のおともだちの途中経過などを書きました。

その影響もあるのか?

おともだちの変化を知って、

やりたくなってくれたようで、

その子は

毎日ハノンを弾くチャレンジをスタートしました。

 

お母さんから早速その後の様子を

教えてもらうと、

毎朝5分程度ハノンを弾くようになって、

頭がシャッキリして

計算が早くできるようになったそうなのです!

 

ハノンで計算が???

 

ハノンは指の独立のために

とても有効なテキストですので、

ハノンを続けて

すらすら指が動くようになった、

良い音が出せるようになった、

という変化はよく聞きますが、

計算が早くなったとは初めて聞きました。

 

指先を使うことは

脳をたくさん働かせることになります。

ピアノを弾くときには

脳のいろんな部分を同時に使わなければいけないことを実感します。

 

車の運転に似ています。

 

慣れてくれば自然にアクセルを踏んだり、

ブレーキに足を伸ばしたりできますが、

慣れるまではぎこちない動きになりますよね。

それに知っている道なら

前もって曲がる角や信号の場所など

余裕をもって準備できますが、

初めての場所で、目的地を探しているようなときは本当にあちことに気を配って

事故にならないように

最新の注意を払いますね。

 

この状態によくにています。

 

頭をフルに使わないと

ピアノは弾けないので、

朝練習することで

脳が目覚めるのでしょうか?

 

シャッキリする、って

なかなか良い表現ですね。

 

その子にとっては

まだまだ始まったばかりの

100日チャレンジなので、

今後の変化が楽しみです。

 

一日5分を続けることの威力を感じてくれることでしょう。

 

だって0分だとしたら、

100日たっても0分ですが、

5分続けたら

100日後は500分。

8時間20分ですよ!!!

 

0分と

8時間の差は歴然ですね。

 

 

音楽は言葉

昨日の投稿で

サラッと音楽は言葉と表現しました。

 

言葉を学んでいるのと同じように

考えてみると、

音楽・ピアノに対する取り組み方が

分かりやすくなります。

 

レッスンに行くだけでは

ピアノは弾けるようになりません。

家での練習が絶対に必要です。

言葉も同じで、

普段どれだけその言葉に触れて

そして、実際に使わないと

自由自在に話したり、書いたりできません。

 

練習というと

ピアノの前に何時間も座る練習をイメージしますが、

弾くだけでなく、

たくさんの音楽を聞くことも必要です。

音符を読む練習も必要ですね。

 

音符を一つ一つ読めるようになることも必要です。

が、

アルファベットだけ読めても言葉が理解できるかというと、

そうではありません。

単語が理解できるようになって、

文章が理解できるようになります。

 

音も同じで、

ひとつの音だけ読めても、

いくつかの音が繋がってメロディーになるので、

まとまりを読む必要があります。

 

横にまとめるとメロディーになり、

縦にまとめるとハーモニーになります。

どちらのスキルも必要です。

 

言葉にもリズムがありますね。

アクセントや抑揚がないと

ロボットが話しているように聞こえます。

 

おうちでの練習をどうしたらいいか分からない時は

言葉を学ぶにはどうしたらいいか?

子どもたちがどうやって

日本語を覚えたのかを思い出してみると

良いアイディアが浮かぶと思います。

 

ひらがなの表をお風呂にはったり、

毎晩読み聞かせをしたり、

たくさん話しかけてあげたり

一緒に文字を書いてみたり、

しましたよね?

 

音楽も同じように

視点を変えてながら

様々にアプローチすると

楽器に取り組みやすくなります。

 

ぜひ、

いろいろな方法を試しながら

楽しく続けられるような工夫をしてみてください。

 

フォルテには何種類もあるよ

母に、

フォルテには何種類もあるよ。

 

そういわれても、

どうしたらいいのか?

困ってしまったことがありました。

 

フォルテは強く。

 

としか先生は言いません。

ここはフォルテだから強く弾いて。

 

どうしてそこがフォルテになるのかを

教えてくれる先生はいませんでした。

 

でも、それは知ってて当たり前らしく、

分からない私は

表現力の乏しい、

指だけ早く動く、

つまらないピアノを弾く生徒

だったようです。

 

もしかしから先生は

しっかり教えてくれていたのかもしれませんが、

当時、弾くのに必死で

音色のことまで考える余裕は

なかったのかもしれません。

つまらない演奏をしていた原因は

思い当たることがいくつかあります。

 

しかし

フォルテには何種類もあるって

どういうことなのか?

なんとなくは分かるけれども、

それを説明するにはどうしたいいのか?

それぞれの年齢で理解できるように

子どもに合わせて言い方を変えます。

一番分かりやすいのは

 

自分の話を聞いてほしい時に、

お母さんをどう呼ぶか?

 

この質問をすると、

なるほどー!

何回も説明しなくても

すぐ分かってもらえるようです。

 

お母さんが料理をしているときに

聞いてもらいたい話があったとき、

1回目はmezzo pianoぐらいで呼ぶかな?

「おかあさん」

包丁で何か刻んでたみたいで、よく聞こえなかったみたい。もう一度呼んでみよう

2回目はもうちょっと大きな声で呼んでみようか?mezzo forteぐらいになるね

「おかあーさん」

んーまだよく聞こえなかったのかな?

返事がないね

3回目はforteで呼んでみようか

「おかあああーさん!」

自然なクレッシェンドの出来上がりです。

3回目呼ぶときのフォルテはどんな気分かな?

①早く話を聞いてほしい

②もー何回も呼んでるのに気がついてくれない!ちょっとイラッとしてる

③なんで聞こえないのー悲しい気分

 

同じように大きな声でおかあさんを呼ぶとしても、そのときの気分によってフォルテにも違いが出てくるよね。

 

音楽は気持ちを表しているから、

自分がどんな気持ちになっているかを想像すると分かりやすいよ。

 

何回も同じフレーズがでてくるときも

大事な話を何度も念をおすように

何回も話すことがありますよね。

それと同じです。

だけど、あまりにもしつこいと逆効果。

だから繰り返すとしても3回ぐらいがちょうどいい

 

そんなふうに

日常生活に置き換えて説明すると

とっても分かりやすくなります。

音楽は言葉。

特別難しいものではなく、

私たちが毎日言葉を話しているのと同じなのが分かりますね。

 

クラシック音楽はヨーロッパの音楽だけど、

人間としての感情は年代や国が違っても

同じなんだってことが

分かりますね。

 

そんなふうにして

どんなフォルテなのかを考えるのも楽しいと思いませんか?

 

 

 

自分なりのストーリーを考えよう

歌詞があると、

歌詞を頼りに表現の方法を考えることはできますね。

ピアノ曲のように、

歌詞のない音楽を表現することに

苦手意識のある方は多いのでは?

私も高校生ぐらいまで、

どうやって、何を表現したら良いのか

よく分からず弾いていました。

 

楽譜に書かれている強弱や楽語、

和音の種類、調性など

知識として知っていることはたくさんありますが、

それを表現に繋げるには・・・

そういう具体的なことを知ることはできませんでした。

それこそ、感性というか、

才能がある人ができることだと思っていたので、

限界を感じていました。

だからテクニックに偏ってしまうんでしょうね。

 

どんなに小さな曲でも

音色や表現にこだわってレッスンするようにしています。

ただ楽譜に書かれた音符を

音に変化させるだけのゲームには

ならないように最初から気を付けます。

 

音を表現するときには

抽象的なことを表現するのかと

思っていましたが、

意外と、驚くほど詳細に具体的なイメージをもって演奏します。

強弱のバランスも、

自分が出せる強弱の幅を数字で考えることもあります。

例えば強弱記号

pp~p~mp~mf~f~ff

この6段階とします。

ppはゼロだと音が無くなってしまうので、

20%とします。

pだいたい30%

mpは約40%

mfは50%

fは65%

ffは80%

と、自分の持てるパワーを配分してみます。

そうすると、

クレッシェンドでは力配分を考えて

およその強弱を決めます。

 

クレッシェンドの意味は

だんだん強くする。ですが、

どの辺りでどのくらいまで強くするかを考えます。

 

というように、

細かく決めて演奏するのです。

 

また、全体の流れを考えるときには

物語を作って場面ごとに設定を考えます。

一曲のなかで、雰囲気が変わるところ、

調性が変わるところ、

などなど映画のようにシーンを考えます。

すると、左手のリズムは何を表しているのか考えやすくなります。

↑物語を考えてくる宿題で、

実際に書いてきてくれました。

 

思いがけない言葉や、

イメージを共有して

それを表現するにはどうしたらいいのか

一緒に考えます。

 

すると、

楽譜に書かれている強弱の意味がよく分かり、

なぜそこに、その記号が必要なのかも

分かってくるようになります。

 

ただ弾いているよりも

数倍楽しくなるようで、

あーでもない、

こーでもない、と自分で工夫しながら

楽しそうに演奏するようになります。

 

同じ曲でも、

物語はそれぞれなので、

個性を大事にするということは、

この部分ではないかと思います。

先生が一方的に

fだから強く弾きなさい!

クレッシェンドだからだんだん強くしなさい!

では、本当の表現にはなりません。

 

思いどおりに表する、

イメージどおりの音色を出すためには、

自分の思いどおりに動く指やからだが必要です。

だから、基礎が大事です。

それがだんだん理解できるようになってくると、

基礎の練習も熱心にやってくるようになります。

 

100日チャレンジで基礎をしっかりできるようになってきて、

その変化を本人が感じることで、

より意欲が増しているようです。